古事記の中に出てくる独特な世界観(コスモロジー)「産巣日」を表現しました。
「産巣日」とは簡潔に言うと、万物に宿る生命エネルギーであり、江戸時代の国学者、本居宣長は「産巣日」を「生成の霊力」と記しています。
「ムスヒ」の「ムス」は、出産や生産を意味する「うむ」、苔が生すを意味する「むす」、その人の生まれた土地を意味する「うぶす」、生命と生命を繋ぐことを意味する「ムスビ」など、生成をあらわす語とされ、むすこ(息子)、むすめ(娘)なども、「ムスヒ」から派生した語と考えられています。
また、「ヒ」は霊力をあらわす語とし、「ムスヒ」は万物生成を司るエネルギーと考えられました。
「産巣日」をテーマに取り上げるにあたって、焦点を当てたのは古事記の上巻第一章の一行目に登場する始まりの神々「高御産巣日神タカミムスヒ(左)」「天之御中主神アメノミナカヌシ(中央)」「神産巣日神カミムスヒ(右)」の3 柱です。
なぜこの3 柱なのかというと、この神々が万物を生み出す根源的な神々であると古事記では記されているからです。「高御産巣日神タカミムスヒ(左)」と「神産巣日神カミムスヒ(右)」の神話中の位置づけについては、2 柱を、天地の始発における根源的な生成のエネルギーと捉え、「高御産巣日神タカミムスヒ(左)」は高天原に、「神産巣日神カミムスヒ(右)」は葦原中国に働き続けることで、あわせて神代全体の展開が実現していくという、世界の形成の原動力の役割を担っていると捉える説があります。
それらを調べて共通しているのは、
「高御産巣日神タカミムスヒ(左)」は陰陽の「陽」の部分を担っており、高天原から降り注ぐエネルギー
を与える神であること。
を与える神であること。
そして「神産巣日神カミムスヒ(右)」は陰陽の「陰」の部分を担っており、種子に関わる大地からエネルギーを与える神であること。
そして「天之御中主神アメノミナカヌシ(中央)」は、偉大な生成力の2 柱の神々を生じさせた神であり、この神が生まれなかったら、「高御産巣日神タカミムスヒ(左)」と「神産巣日神カミムスヒ(右)」は現れなかったとされる存在です。
この3 柱が『古事記』序文で「参はしらの神、造化の首と作れり」と括られていることから、「造化三神」と呼ばれます。「造化」の意味は万物を生成する作用のことと解されますが、これは太極を一とし、一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生ずるという老子の思想に基づいています。
この3 柱が『古事記』序文で「参はしらの神、造化の首と作れり」と括られていることから、「造化三神」と呼ばれます。「造化」の意味は万物を生成する作用のことと解されますが、これは太極を一とし、一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生ずるという老子の思想に基づいています。
つまり3 柱で万物を表現しました。